昨年の夏、new music from big pinkリリースした時に思ったこと。 今のところ、とにかく基本的に売り上げチャートに無縁な人生である。 初週にたくさん売り上げる音源と、少しずつじわじわ売れ続ける音源が世の中にはあるのだけど、少なくとも僕のはほぼ後者に入るとは思う。 ていうか、そもそも今までそんなにヒットしてないのだが、それもあってチャートについて考えたことって実はあまりなかった。 長ーく売れること自体は、ロックバンドとしてはたいへんに良い事だと思うが、 基本的に大きく見れば人を巻き込み、メンバーの人生を巻き込み、完全に大人になってもバンドをやっている以上、否が応でも意識しないといけない「プロの仕事」の側面はある。 わかっているつもりだけど、音楽の事ばかり考えてる時には感覚としてついてこない時もある。
でも前回、『new music from big pink』がオリコンインディーズチャートの20位に入った。 不思議に思ったのは、あのシングルこそある意味「仕事」の割合がかなり低いCDだからだ。 それは中身のことでなく、マジでノンプロモーションだということだ。自分たちで作ったから、ほとんどプロモーション予算もない。だから雑誌や媒体にも出てない。そのかわり、自分たちで出来る事でベストは尽くしたと思う。その結果、そこにこの曲が顔を出した事の意味は大きかった。 チャートというのはおもしろくて、20位と21位では違う。いや、当たり前だけども。 それすらも今まで考えた事なかったけど、表立って発表されるのはインディーズの場合、20位までだ。 21位からは調べないとわからない。ある意味、ビッグピンクはまさにその境目にいる。 で、今CDも売れないと70億回ほど言われてる時代で、本当にチャートの順位って、100枚、いや数十枚単位、いやもっと言えばもしかしたら数枚で変化する時もあるかもしれないってくらい。 だから、これ、あなたがあの夏に買った1枚がオワリカラのシングルを21位から20位に押し上げたのかもしれないんだよ。 ていうかそうなんだよ。 これが感覚として理解できたとき、チャートや売り上げというものの違う意味がちょっと理解できた。 あれは1人1人の集合体だ。ライブと変わらない。 「そんなこといまさら、マジで30になって何言ってんだ」と言われそうだけど、僕は本当に経験しないと何にもわからない人間ですが、 理解したら、あの数字の「1」の見え方は変わった。 君が買ってくれた(る)アルバムは、売り上げの上では数字の「1」になる。 でもその、顔の見えない1は、体温をもった1で、その1のために2年試行錯誤しながら時間をかけて作ってきたと言える。 なので、ありがとう。