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I君の思い出 腺彪の作曲〜

僕は最近毎日作曲をしている。そういう環境にいるので、結構普通のことだといえる。だけどそうでない人から見ると「作曲なんて凄いですね!」となることがあるらしく、「さぞ大変なんでしょうね…」と輝かしい瞳を向けられることがたまにある。ちゃんと大学に行って、授業に出ることの方が数倍労力を要することを知っている僕は、いつもどおり「そんな…」とどもりながら苦笑いする。さぞ情けない風体だろう。

そんな僕にも作曲との出会いがある。それがI君の作曲であった。そこでI君の話を少々。

小学4年生くらいの時のことである。あるつかの間の休み時間に、僕は一階から教室のある上の階を目指して駆け上がろうとしているところだった。その時、突然頭上から奇妙な歌が耳に飛び込んできたのだ。

「♪ルルル、殺す殺す殺す ♪ルルル、殺す殺す殺す」

あまりに奇抜な歌詞と、プロレスの入場曲風の狂熱のメロディに一瞬で心を奪われた僕は、この歌の発生する地点を目指して駆け出していた。そしてそこで階段を悠然と降りてくるI君と出くわしたのだ。その歌は間違いなく彼の口からドロップされていた。僕は駆け上がってきた勢いそのままに「その歌何っ!?」と疑問をぶつけた。彼はさも当然といった表情で

「俺の歌。」

とだけ答えた。そして歌のリズムにきっちり合わせて階段を下りていったのだ。そのあとには興奮で動けなくなった僕だけが残されていた。

今思えば、彼は自分のライフスタイルを彩るために、自分の階段の上がり下がりのテーマ曲を作曲したのだ。それはすごく純粋な作曲ではないだろうか。
今でもふと思い出す。彼は何を殺したかったんだろうかと。

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