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I君の思い出◆腺彪の嘘〜

I君は嘘つきだった。彼は典型的な天邪鬼だった。
ある日彼は「俺はトラを飼っている」という子供でも数秒で嘘と結論できる嘘をついた。あまりに意味のない、得るもののない嘘に僕はすごく切ない気持ちになったのを覚えている。同時にメチャクチャ面白かった。
「トラは凄い。強い。」いささか馬鹿っぽすぎるが、まぁ、大体こんな感じのことを彼は続けて言った。僕らは笑った。僕らの中のガキのくせにちょっと頭の切れる少年が「じゃあ、トラの名前なんつーんだよ?」とすぐさま質問を浴びせた。I君はマンガのように一瞬焦った顔をしてから、ぎこちなく答えた。

「き…キラー。」

怖い、強いトラだからキラー。殺し屋。僕はそのイノセントな即答に心から震えた。

それから数ヵ月後、意地悪な男子の「今日お前の家行くからキラー見せてくれよ」という質問にI君が「キラーは病気で死んだ。最後には何も食べなくてオリの中で死んだ。だから見せれない。」と答えたことでいきなり死んだことになってしまった。ちょっとデティールの細かい死に方が良かった。「凄い強いトラのくせに、病気であっさり死ぬんだな」と思った。

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