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I君の思い出〜I君の母親〜

I君の母親について、書きます。I君に関して三回目。


I君の母親は物凄い変わり者であった。過保護の限界に挑戦する勇敢なチャレンジャーのような女だった。彼女の異常具合には目を見張るものがあったと言わざるを得ない。

学芸会はとにかく衝撃だった。たしか二年生の学芸会で、演目はピーターパンであった。何幕かあるうちの第二幕のピーターパンをI君が演じることになったのだ。別に誰でも良かったので、やりたがったI君になったのだろう。しかしクラスメイトのそんな軽い気持ちは本番当日に木っ端微塵にされる運命にあった。
それは第二幕の準備中。舞台裏にI君の母親が突然侵入してきたのである。そして彼女はデビットボウイも顔負けのきらびやかな衣装をI君に着せたのだ。これは本当にきらびやかだった。比喩でなく、文字通り軽薄に光り輝いていた。母親は息子のグラムなピーターパン姿に満足そうだった。
しかし第一幕では他の少年が演じるピーターパンが緑の地味な衣装で活躍していたのである。それが第二幕になったとたん突然ジギースターダストのような衣装に変わっているのだ。一体、第一幕と二幕の間に何があったのだろうか。ピーターパンは金持ちのパトロンでも見つけたのだろうか。幕間を読む天才でも推測できまい。


遠足も震撼を呼んだ。電車で行く遠足の時には、わが子のことが心配な母親が駅まで見送りに来ることは結構よくある光景だった。もちろんI君の母親は最前列で心配そうな顔を全面に押し出していた。
しかしそのあと奇妙なことが起きた。感動的な別れのシーンのあとにI君の母親がI君に付いて改札の中に侵入してきたのだ。「すごい過保護な母親だなぁ。わざわざホームまで見送りにくんのか…」と僕は子供ながらかなり呆れていた。しかし彼女がI君にくっついて電車に乗り込んできたとき、僕の呆れ顔は衝撃で歪んだ。彼女は遠足の目的地の駅まで付いて来たのである。

こうしてみると、よく侵入してくる母親だといえる。

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