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ダメなあたし

ロリータ順子さんという方がいました。
僕は、「彼女は山崎春美率いるタコという80年代のバンドに参加していた女性で、春美氏の私生活や執筆においてもパートナーとして活動し、白石民夫とは『ダメなあたし』というバンドで活動していた、87年没、死因はおう吐物を喉につまらせたことによる」、という程度の知識しか持っていません。

タコについては数年前に記した稚拙な紹介文が、『タカハシヒョウリと人類』のホームページから飛べるコラムのコーナーにあります。良かったら一読を。

戸川純が、80年代の鬱屈した気分の中を舞いあがることに成功した飛行機だったなら、そうして生まれた時代の上昇気流によって舞い上がった風船の女性がロリータ順子だったような気がします。彼女のフワフワとした、何か開けてこない危うさが、20年後の僕たちにも感じられるのです。

戸川純とロリータ順子は、交流があったようです。ロリータ順子の死は少なからず、戸川に影響を与えたのでしょう。戸川純は、自殺を図ってスキャンダルになったことがあります。戸川が自ら死を図り、それでもいまだ健在であることと、80年代の上昇気流が失われるにつれ降下し、よどんだ空気の中に墜落してしまったロリータ順子を思うと、先のイメージがより強まるのです。

春美のまわりには、「鈴木いづみ」もいました。彼女は山崎春美と交流があり、私生活での交流(春美が鈴木に振り回されていた友人関係のようだが)、雑誌での対談、編集者と小説家としての関係。鈴木は山崎春美と、かれの通う編集部をモデルに小説を書いたこともあります。その中で、鈴木はロリータ順子をモデルにした女性を登場させたのですが、明らかに悪意のある人物造形であったために多少問題を生んだようです。

その鈴木いづみをテーマにした演劇で、戸川純が鈴木いづみを演じたらしいのです。なんともはや。

鈴木いづみの夫で、変死した阿部薫を主題にした映画で、阿部薫を演じたのは、タコに参加していた町田町蔵(現町田康)でした。数少ない生き残った人々は、失われたはずの空気の中にいるのです。

そんなことを、初めて耳にできたロリータ順子の『ダメなあたし』の音源を聴きながら考えました。やはり80年代の空気はそこにあるようです。



おなじくロリータ順子も一瞬登場する、『天国注射の昼』という野外イベントでのタコの映像です。メインボーカルは町田町蔵です。もう一人のボーカルが春美。この曲は、CDでは規制で無茶苦茶な編集をされている『きらら』のライブバージョン。



これを見るとなんか悲しい気分になります。みんなで遊んだ子供のころの映像を見ているような、空しい気分になるのです。
山崎春美の映像で、市販されて見られるものはこれだけです。しかしどこかに少なくとも『自殺未遂ギグ』の映像が残されているはずです。

山崎春美に対する興味は尽きません。

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シーンを作れない
香山リカ『ポケットは80年代がいっぱい』(バジリコ)を2回読む。変に神格化するような書き方ではないのがよい。この本で初めて知った固有名詞で検索して、コクシネル、ガセネタの再発CDをいぬん堂とアマゾンへ注文し、2ちゃんねるの山崎春美スレッドからリンクを辿っ
  • ANAGURA
  • 2008/03/10 9:22 AM
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