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40周年

あがた森魚というミュージシャンがいる。
彼はなんともつかみ所のない音楽家だ。
とりあえず世に出たとき、下駄をはいていた。
4畳半、男女の同棲の哀切を歌った『赤色エレジー』でデビュー。
大正ロマン、世界旅行、タンゴ、稲垣足穂、稼ぎを全部突っ込んだ映画製作、商売のことを考えず8年かけて作ったLP3枚組(わずか450枚のみ!)・・・
彼は音楽で、自分の好きな物を追いかけるのにためらいがなかったんだろう。
そんなところに、ものすごく影響を受けている気がする。

高校生の頃、初めて聴いたのは『乙女の浪漫』で、『大道芸人』『電気ブラン』にやられた。
「この娘の生まれは北海道」で始まる口上とか、レトロな雰囲気が好きだった。
学生の頃、浅草の神谷バーに行って件の「電気ブラン」を頼んだときは感動した(かなり強くて、飲めなかった)。
『噫無情(レ・ミゼラブル)』『日本少年』も通学の時に繰り返し聴いてた。
いまだにこれを聴くと、通学の時の景色が思いうかんだりする。
一緒に『大道芸人』を演奏できたときは、とても嬉しかった。




40周年コンサートは、日比谷公会堂。
シチュエーションも素晴らしく、バンドメンバーもすごかった。
鈴木茂さんのギターは、相変わらずウルトラ快感ギターだった。

とても素敵なライブだった。
あがた森魚は、とにかくロマンチックでかわいらしい。
「星屑拾うルンペン、夜霧の片隅に」とは、この日もかけつけた鈴木慶一さんの『スカンピン』だけど、そんなムードだ。
まだ見ぬカンパネルラを夢見るジョバンニのような少年。
そういうことを再認識する一夜だった。
同時に不思議なほど、こういうイベントにつきものの、一区切り感とか、感傷とか、貫禄みたいなものが感じられなかったのが凄かった。
俄然、漂流中。
あぁ、この人まだまだ漂っていくんだな、と思った。
彼にとっては、40年ぶりに、ふと立ち寄った港町での、わりと楽しい夜の出来事、ぐらいなんじゃないか。
意識的にそうしてるんじゃなくて(あがたさんは頑張って昔の話をしたり、メンバーに出会いのことを聞いたりして40周年ムードを高めようとしていたんだ)、もうそういうふうにしかならないんだろう。
ひとところにとどまらず。
生き方なんだ。

個人的なハイライトは、『月曜日のK』と、あがた森魚ver.の『はいからはくち』かな。
大名盤『噫無情(レ・ミゼラブル)』のアレンジャー矢野誠さんが参加していたからこその選曲だった。
『俺の知らない内田裕也は俺の知ってる宇宙の夕焼け』『サブマリン』も楽しかった。
あと数曲、コーラスで蜜が参加していたんだけど、棒立ちのはっちゃんと、うにちゃんの怖いもの無しなコーラスが笑えたりもした。
最後にはステージ上が人であふれた。
なんとなく数えてみたら、23人+あがた森魚だった。

『ややあがた森魚デラックス』というドキュメンタリー映画で、あがたさんは繰り返しノーチラス号の模型を持ち出す。
『海底二万マイル』に登場するネモ船長の潜水艦だ。
ネモ船長は、海底を漂い地上の光に背を向けて、潜水艦で世界中を旅する漂流者だ。
最後はノーチラス号とともに海底へと消えていく。
漂流者、あがた森魚もまた、音楽の海底へと消えていくまで、ただ漂流漂流。
40周年おめでとうございます。
あがた森魚に拍手喝采。



はじめてあがたさんのライブを見たときにいただいたセットリスト。
『赤色エレジー』のシングル盤。



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