スパムメール

僕たちバンドとバンドをつないでくれる職業(?)に、イベンターというのがある。

対バンしたら何か広がりがあるだろうと考えたバンドをいくつか集めてイベントを組み、バンドはイベントとの相乗効果で客を集めたり、ノルマという形で協力し、新しいお客さんに演奏を見てもらう。
がんばって親切に、すごく簡単に書くとこういう感じで、昔から今までオワリカラも大小東西南北様々なイベンターに世話になっている。
 
彼らを通して出会ったお客さん、バンド、スタッフは数え切れず、本当にバンドの血肉になっている。
しかし、今日書くのは、僕がイベンターの皮をかぶった集金屋と勝手に思っている連中のことだ。
 
明らかに怪しいイベンターからのスパムメールというのは、バンドマンなら一度は経験があるはずだ。
 
ある日突然メールが送られてきて、中にはイベント出演の依頼の文章とともに、日程と会場とノルマが何件も羅列されている。
そして連絡先とともに、興味がある日程で連絡ください、と書いてある。
 
イベントの内容にもまったく触れず、割高なノルマが列挙されている。
つまりはノルマとしてお金を集めることだけが目的としか思えず、送り主の会社名でネット検索してもHPのひとつも出て来ず、怪しさマックス、ある程度バンドの知識がある者ならば、即削除ゴミ箱行き確定のメールである。
 
しかし、このメールのターゲットはおそらくまだバンドを始めたばかりの高校生とかで、まだライブハウスのこともよく知らないボーイガールが「ライブハウスでライブがやれるんだ!」と、わけのわからないそのライブイベントに金を払って出演するのだ。
いや、実際にそういうボーイガールに会ったことはないが、こういうメールがいつまでも絶えないのは、実際にそういうバンドがいるからだろう。
 
もちろんこのメール自体には、法的に何の問題もないと思う。
 ただ、好き嫌いで言うと、僕はこの手のメールが大嫌いだ。
そのメールの送り主に音楽やライブイベントへの熱意が少しでもあるか、なんてことはメールを読めばさすがの僕にだって感じられる。
「集金屋はよそでやれ。」と罵倒してやりたい気持ちにかられる。
 
その気持ちは昔からなのだが、なぜ今突然このメールに憤ってるのかと言うと、
今度の震災に乗じた新手の内容のメールが届いて、それがもー最悪で腹立たしいのだ。
 
震災から少しした頃、会社名こそ違えど日頃からこの手のメールを送ってくる会社と明らかに同じ文体で、
「この度の震災を受けて、寄付を目的としたチャリティーライブをやります。会場と日程は〜(10箇所ほど羅列されている)。どのライブもチケット代は500円で、その収益はすべて寄付します。」というメールが届いた。
これだけなら、趣旨はじゅうぶんわかる。
自分の音楽が直接寄付につながる…興味が湧く人もいるだろう。
 
ただ、すごいのがここからで、
「チケット代は500円で収益はすべて寄付します。
ただしバンドには参加費として2万円〜3万円を頂きます。」
 
ちょっと待て!
なんだその不透明な参加費!
これ、お前らにとってはこれっぽっちもチャリティーじゃないじゃん!
チャリティーに乗じてめっちゃ利益出してるじゃん!
 
よく考えろよ。
そんな金払うなら、それ寄付するだろ!
 
これは、やっちゃいけないだろ。本当に。
というわけで、ますますスパムメールが嫌いになったのでした。

「悪い男はモテる」を見た。

「悪い男はモテる」ってやつ。
結構まことしやかに言われてるやつで、まあ実際結構そうなんだろーなーと思うんだけど、
でも実際に具体的にそういう場面に出くわすことって少ない。
「あいつ人3人も殺してんのに、彼女8人いるよ。本当悪いやつはモテるよなー。」とか。
ないから。
「あいつ有名な幼女誘拐犯だけど、近所のマダムにすごい人気あるんだよねー。」とか。
ないから。

先日、吉祥寺からバスに乗って発車を待ってたら、20代くらいのカップルが乗って来た。
女のほうはわりと普通の美人な女性なんだけど、男の方がもう見た目から悪い。
絵に描いたような、『クローズ・ゼロ外伝』って感じの(読んだことないけど)ルックスで、「僕悪いです。」と全身で訴えてるような人。

そのクローズゼロが乗車してきたのが発車の直前で、最終バスだったから車内にはそれなりに人がいたんだけど、そいつが席についてから思い出したように立ち上がって

「ちょっとトイレ行ってきて良いっすか?」

と授業中の小学生のようなことを言い出した。
えー!?この状況でトイレいくかー、と車内も凍りついた。
でもまぁトイレ本当に我慢できない可能性もあるから一概になんとも言えないけど。

車掌もさすがに驚いた様子で
「良いですけど、発車まで三分しかないよ。時間が来たら発車しますよ。」

そりゃそうだ。一人のトイレのために公共のバスが待ったりはしないよな。

「あ、そーすか。大丈夫っす。」

って言いながら、クローズゼロはバスを降りてった。
あ!行くんだ!?そっちの大丈夫なんだ!?
どう考えても三分じゃトイレにはたどり着かないし、大体吉祥寺駅のトイレは改札の中だぞ。
大丈夫じゃないぞ。
と多分、車内の全員が心の中でつっこみを入れた。

案の定、クローズゼロはしばらく帰ってこなかった。
発車時刻を過ぎてもさすがの車掌も待っていた。
だってそいつ彼女を車内に置いてってんだもん。
脅しみたいなもんだよ。
さすがに彼女を乗せたままそいつだけ置いていくのは気がひける、と思うよ。

で、数分遅れてきたクローズゼロは、特に悪びれた様子もなく着席。
バス発車。

その後の女とクローズゼロの会話を、僕は聞き逃さなかった。

「トイレ行けたの〜?」

「あ、改札の中で行けなかったわ。
でも大丈夫、ぜんぜん我慢できっから。」


なら行くなよ!!!
悪ッ!!!!


悪い、悪いぞクローズゼロ。
しかし、女はなぜかそこでクローズゼロにメロメロ。

「も〜、クローズゼロったら〜。」

とふんぞりかえるクローズゼロの腰に手を回してアピールしだした。
以降いちゃいちゃ・・・。
目に見えてモテてる様子だ。

「悪い男はモテる」。
その片鱗を垣間見た、深夜のバスであった。


ぐるぐる回るルンペンの話

 いよいよ暖かさを増してきた昨今だが、こう暖かくなると道端で寝転がりたくもなる。
たとえば、木漏れ日のベンチで寝るとか。
そんなマンガみたいなことしねーよ、とお怒りの意見はすごくよく分かる。
でもまれに寝ちゃうんだ、これが。
ツアー先とかのベンチで。 

何年も前に、何かのはずみで横浜の海沿いの公園のベンチで一晩寝たことがあった。
海を目の前にしたベンチで寝るのは結構壮大なシチュエーションで、一人意味もなく勇敢な気分になって眠りについた。

早朝に、何かの気配がして目を覚まし、薄目を開けると、僕が寝てるベンチの周りをルンペンと思われるおっさんがグルグル回っていた。
ぐるぐる回る…いや、廃校フェスではない。

「やばい」と思った。
真っ先に思い立ったのは、このおっさんは僕の荷物を狙っているんじゃないか、ということだった。
コートのポケットには財布が入っている。
 

おっさんは引き続き、周りをぐるぐる回っている。
僕は起き上がるべきか、寝たふりを続けるべきか激しく考えた。
起き上がったら逆上して襲い掛かってくるかも!?でも、寝たふりしてたら財布を狙ってくるかもしれない…。
どっちもリスキーで、しばらく考えていたが、いつまでも迷っていてもらちがあかないので、決心をつけてガバッと勢いをつけて起き上がった。

するとルンペンのおっさんはびっくりした様子で、開口一番こう言った。
 

「君の靴が盗まれないように、周りを回って守っておいたよ!」

えー、おっさん職業ガーディアン?
なんで靴ピンポイント?
と思ったが、その場の雰囲気に飲まれて一応礼を言ってしまった。
「え、ありがとうございます。助かります。」と。
 

何が助かったのか、まったく見当もつかないが、世の中は持ちつ持たれつだ。
するとおっさんは、にこやかにベンチの隣に座ってきて、話しかけてきた。
要するに、想像を絶するほど暇だったんだろう。

おっさんは、自分の波瀾万丈の人生(昔はアメリカで一山当てていた、あまりにスゴイ人生で近々小説になりそう、など)を熱く語ってきた。
いわゆるルンペンにありがちな虚言癖丸出しだった。
ただ、残念ながらこっちも間違いなく暇な身なので、適当に相づちをうって聞いていた。
大体にして滑舌が悪すぎて、大部分は聞き取れなかったけど。


突然おっさんが、
「お前さん、なかなか良い男だね、遊んでるんじゃないか〜?」
と持ち上げてきた。
適当に聞いてるのがバレて、今度は褒め殺しにシフトチェンジしたのだろうか。
 

「いや、本当にぜんぜんです。」
と返事をすると、おっさんは

「なんだ、それなら俺がナンパの仕方を教えてやるよ!」


と謎の世話好きを発揮し、なんと、まさかのルンペンによるナンパ講座が開演したのだった。

「見てなよ、俺が見本を見せてやるよ。」


おっさんは勢い良く立ち上がると、向こうからジョギングしてくるおばさんの集団(推定50代)に向かって突っ込んで行った。
 

「お姉さんたち、お茶しな〜い!」
 

我が目を疑うほどに、見事に避けられるおっさん!!!


「うわ〜、いつの時代のマンガのセリフだよ。
しかも狙う年齢層高すぎだろ。
おばさんたち蜘蛛の子散らすように逃げてっちゃったよ。」
とツッコミどころが多すぎるその光景。僕はおっさん流ナンパのあまりの失敗っぷりに腰抜けそうになった。


しかし、戻ってきたおっさんは、誇らしげな表情で、


 「あいつら恥ずかしがり屋なんだよ。」

あーー、これは何言ってもダメだなー。
出来上がっちゃってるよ、この人。
と、清々しい気持ちになった。


結局そのおっさんとは、ナンパ講座終演とともに、こっちにも予定があったので、そこで別れた。
もちろん以降会っていない。
おっさん直伝のナンパ術も、残念ながら未使用のままだ。


でも、散々書いたけど、わりと楽しい思い出だ。


そんなわけで、暖かくなりベンチで横になってると、ルンペンのおっさんが周りをぐるぐる回っているような気がする…という話。

 


ライブレポの件

僕はMCあんまり多くはしないのだけど、たまにすると早口で何言ってるかわからんと不評な時があったりする。
それでも自分では特に気にした事なかったのだが、この間の大阪でのライブのレポートを関西ぴあが掲載してくれて、その掲載前の原稿に目を通したとき考えを改めた。

レポート自体はわりと臨場感のある文章で、良い感じのレポートだった。
シリアスで緊張感ある感じでライブレポートは進み、一息ついて中盤。
MCの部分。

「ハラショー!オワリカラです、よろしく!」

待て待て。
言うわけ無いだろ、そんなこと。
どんなひょうきん者だよ。
というか突然すぎだろ、そこでハラショーは。
なんでロシアなんだよ、刃牙かよ。

多分、「ありがとう!」がスピーディーすぎて「ハラショー!」に聞こえたのではないかと推察。
全体にシリアスなレポートの真ん中にこれが出てくるシュールさ。
面白いのでそのままにしても良いかな・・・と思ったのだが結局掲載されたヤツでは直ってるようです。

しかし、もう少しゆっくり話しますね。
なんか・・・オタクは早口なんだってさ。

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